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令和2年(ワ)第11491号 意匠権侵害差止等請求事件

請求棄却

先使用の抗弁が認められた事案

抜粋

ア 原告意匠の出願日は令和元年8月20日であるところ,上記(2)において判示した被告製品の開発経緯によれば,被告製品を開発・製造して被告 に販売したダイセンは,Wuxi社及びCNTA社との間で洗面台用排水 5 口フィルターの新製品の開発を進め,平成31年4月にWuxi社から抜き型図面(乙20)を受け取り,これに基づき試作品を作成した上で,被 告に対して新製品販売の提案を行い,被告製品の意匠は令和元年7月に被告に採用されて,被告製品の製造・販売に至ったものと認められる。

イ ダイセンがWuxi社から受領した上記抜き型図面の構成は,上記(1)イの被告製品の意匠の基本的構成態様及び具体的構成態様をいずれも備えたものであり,被告製品の意匠と同一又は類似するということができる。 そして,同図面に基づいて作成されたと推認される被告製品の試作品(乙 23の2の1の下段,乙23の2の2,乙23の4)も同様に被告製品の 意匠の基本的構成態様及び具体的構成態様をいずれも備え,被告製品の意 15 匠が被告に採用された後に,ダイセンの担当課長がCNTA社の担当者に 送信した電子メール(乙27)の本文に挿入された試作品の画像も同各態 様を備えていたものと認められる。 そうすると,原告意匠と同一又は類似する意匠は,平成31年4月にダ イセンがWuxi社から知得し,仮にそうではないとしても,ダイセンが被告と打合せを重ねる中で原告意匠の出願日までの間に創作したもので あり,その意匠は平成31年4月から被告製品の意匠の採用時まで,一貫して,上記(1)イの基本的構成態様及び具体的構成態様を備えていたもの というべきである。 ウ 意匠法29条は「現に日本国内においてその意匠又はこれに類似する意 25 匠の実施である事業をしている者又はその事業の準備をしている者は,そ の実施又は準備をしている意匠及び事業の目的の範囲内において,その意 匠登録出願に係る意匠権について通常実施権を有する」と規定するところ, 上記(2)のとおり,ダイセンは,令和元年8月2日には被告から2万個の被 告製品の製造を受注していたことに照らすと,原告意匠の出願日(同月20日)には原告意匠又はこれに類する意匠の実施である事業を開始していたというべきである。 加えて,ダイセンが,原告意匠の出願日当時,原告意匠について知って いたことを示す証拠はない。

エ 以上によれば,原告意匠と被告製品の意匠が類似しているとしても,ダイセンは,原告意匠を知らないで自ら原告意匠又はこれに類似する意匠を創作し,又は同意匠の創作をした者から知得して,原告意匠登録出願の際, 現に日本国内において原告意匠又はこれに類似する意匠の実施である事業をしていたということができるので,意匠法29条に基づき,原告意匠権について通常実施権を有するものというべきである。そうすると,被告が,原告意匠権について通常実施権を有するダイセンから被告製品を仕入れて販売等する行為が原告意匠権を侵害するということはできない。

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抜き型図面の構成により排水口フィルターの形状が決定されるようになっている。抜き型図面の構成は 被告製品の意匠の基本的構成態様及び具体的構成態様をいずれも備えたものとなっている。このような場合に、抜き型図面の受領により 原告意匠と同一又は類似する意匠が知得されたと判断された。よって先使用の抗弁が認められた事案。

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