大学の先生(大学・研究機関・TLO等)と企業との共同研究・産学官連携に関して、知的財産(特許)等の成果を双方が納得できる形でまとめるには、相互の立場の違いを理解する専門家に相談する

目次

大学の先生と企業との共同研究・産学官連携で何が問題となるのか

大学・研究機関・TLO等の先生と企業との共同研究・産学官連携は我が国の技術の発展のためにも大変重要です。企業は大学の先生の知見を借りたい、大学側は企業の研究資金やリソース等を利用したい。様々な観点から、大学の先生と企業との共同研究・産学官連携はよく行われています。共同研究・産学官連携の成果物をどうするのか、費用はどうするのか等、多くの観点で契約の調整が必要です。また、知的財産、特に特許の観点では、大学の先生と企業の研究者との共同発明に該当する場合には、それぞれの予約承継の規定により大学と企業とが、特許を受ける権利を有することとなる、すなわち共同出願となる場合があります。では互いに自由に実施してよいのでしょうか、そして企業や大学はライセンスして収入を得たいけれども相手方の許諾を得られるのでしょうか。さまざまな問題が生じる可能性があります。従って、大学も企業もお互いに上手く折り合っていくためには、それぞれの立場を理解する必要があります。

大学側の立場

令和5年3月29日に内閣府・文部科学省・経済産業省より「大学知財ガバナンスガイドライン」が発表されました。

「大学知財ガバナンスガイドライン」の中でも述べられていますけれども、大学側も、先ずは、知財の社会実装機会を増やさねばならないという事情があります。

教育基本法には、「大学は、学術の中心として、高い教養と専門能力を培うとともに、深く真理を探究して新たな知見を創造し、これらの成果を広く社会に提供することにより、社会の発展に寄与するものとする」(教育基本法第 7 条第 1 項)とあります。大学は、企業とは違った設置目的で設定されており、内部の研究者・先生方の研究をサポートしなければならないという要請もあります。また、学生の教育機関としての役割もあります。

他方で、大学も営利機関として、ライセンス収入等により、資金の好循環を達成せねばならないという要請もあります。

このような立場が、契約の側面や、知財に対する姿勢として現れてくることを理解しておくことが必要です。

企業側の立場

企業は営利目的の事業体です。投資により、成果をあげねばなりません。研究開発の後に、製品開発、量産、販路開拓等の工程が控えています。自企業が投資したのに、成果物を自由に他社にライセンスされては困ってしまいます。また、研究成果を自由に発表されては困ると考えることもあります。

企業側の立場は、大学側の立場と相反することが多いことも理解しておく必要があります。

NDA、共同開発契約、共同研究契約、共同出願契約等

大学と企業とが成果を上げるためには、共同で研究し、成果をシェアする必要があります。

NDA、共同開発契約、共同研究契約、共同出願契約等の締結過程において、両者の考え方の相違が顕在化し、お互いの立場から揉めてしまうことがあります。

希望をある程度通しつつ、合意をうまく締結するためには、両者のサポートをする専門家の存在も不可欠です。

例えば弊所は、大学技術移転協議会のUNITTの会員となり、大学・研究機関・TLO等の立場や活動についても理解を深めています。また、日々、スタートアップや企業等の側のサポートも行っております。従って、大学・研究機関・TLOと企業とが連携するときに両者の側の要望や直面する問題点についても理解しております。

大学・研究機関・TLO等と産学官連携等を検討されておられる場合、そこまで考えていなくてもこれらの機関に所属する先生等に共同研究をお願いしたい場合等に、不安点や不明点等ありましたらいつでもご相談ください。

目次