特許権侵害行為差止等請求事件 大阪地裁
ゲームソフトの間接侵害
本件各発明の構成要件
本件特許Bに係る特許請求の範囲
【請求項1】遊戯者が操作する入力手段と、この入力手段からの信号に基づいてゲームの進行状態を決定あるいは制御するゲーム進行制御手段と、このゲーム進行制御手段からの信号に基づいて少なくとも遊戯者が上記入力手段を操作することにより変動するキャラクタを含む画像情報を出力する出力手段とを有するゲーム機を備えた遊戯装置であって、上記ゲーム進行制御手段からの信号に基づいて、ゲームの進行途中における遊戯者が操作している上記キャラクタの置かれている状況が特定の状況にあるか否かを判定する特定状況判定手段と、上記特定状況判定手段が特定の状況にあることを判定した時に、上記画像情報からは認識できない情報を、上記キャラクタの置かれている状況に応じて間欠的に生じる振動の間欠周期を異ならせるための体感振動情報信号として送出する振動情報制御手段と、上記振動情報制御手段からの体感振動情報信号に基づいて振動を生じさせる振動発生手段と、を備えたことを特徴とする、遊戯装置。
4 当裁判所の判断
中略
イ 争点(1)イ(ア)(特許法1015 条1号所定の間接侵害の成否)について
ロ号製品は,上記アのとおり,本件発明B-1の技術的範囲に属する遊戯装置であるロ号装置を構成するPlayStation2本体に装填してゲームを実行するためのゲームソフトであり,PlayStation2本体に装填してゲームを実行するためのゲームソフトである以上,PlayStation2本体に装填されて使用される用途以外に,社会通念上,経済的,商業的又は実用的な他の用途はない。したがって,ロ号製品は,ロ号装置の生産にのみ用いる物である。
そして,ロ号装置は,本件発明B-1の構成要件を充足するから,ロ号製品は,物の発明である本件発明B-1に係る物の生産にのみ用いる物であると認められる。
これに対し,被告は,ロ号製品が装填されたゲーム機が振動機能をOFFにした状態で使用されることがある(乙B5の1・2)から,ロ号製品は本件発明B-1に係る物の生産に「のみ」用いる物に当たらないという。しかし,ロ号装置が物の発明である本件発明B-1の各構成要件の構成を備えている以上,ロ号装置においてユーザが機器の振動機能を実際に使用するか否かは,ロ号製品が「その物の生産にのみ用いる物」に当たるか否かの判断を左右し得る事情ではない。
したがって,ロ号製品を製造,販売することは,特許法101条1号に基づき,本件特許権Bを侵害するものとみなされる。
今後に生かすポイント
ゲームソフトがゲーム本体に装填されて使用されるとき、特許発明(物の発明)の構成要件を充足するのであれば、ゲームソフトは、物の生産にのみ用いる物であると認められる可能性がある。
しかしながら、近年あるような、同じゲームソフトが他のゲーム本体(ハード)でも動作されるような場合には、結論が異なる可能性がある。