欧州特許出願における進歩性(Inventive Step)の課題解決アプローチ(Problem Solution Approach)

欧州の進歩性(Inventive Step)に関して質問を受ける機会があったので概要を記載する。欧州特許出願における進歩性(Inventive Step)の判断プロセスは、日本の進歩性や米国の非自明性(35 U.S.C. 103 nonobviousness)とは異なる。

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課題解決アプローチ(Problem Solution Approach)

欧州特許出願における進歩性(Inventive Step)の判断の手法としては課題解決アプローチ(Problem Solution Approach)が知られている。

欧州の進歩性(Inventive Step)の課題解決アプローチ(Problem Solution Approach)の手順の概要は、以下の通りである。
1.出願する発明と最も近い先行技術を特定する。
2.1の先行技術にはない技術的特徴を特定する。
3.2の先行技術にはない技術的特徴がもたらす技術的効果を特定する。
4.3の技術的効果に基いて技術的課題を設定する。
5.当業者が、4の課題に直面したときに、先行技術から本願発明に想到することが促されるかを検討する(Could-Would Approach)。

課題解決アプローチ(Problem Solution Approach)の注意点

日本における進歩性の考え方とは異なり、技術的課題が課題解決アプローチの途中で導かれるように設定される。また、「当業者が、4の技術的課題に直面したときに、」という形で論理展開がなされ、技術的課題の新しさが考慮されにくくなっている。日本において、今までになかった新しい課題を見つけて設定している場合、欧州の課題解決アプローチの議論に耐えうるように明細書作成時の準備が必要。また、他の観点では、効果を限定されないように明細書でブロードに書きすぎている(又は課題を全然書いていない)と、翻訳を介して欧州に進んだ場合に、技術的効果及び技術的課題が思ってもみないところに設定されてしまう可能性もある。

このような欧州特許出願における進歩性(Inventive Step)の判断の手法としての課題解決アプローチ(Problem Solution Approach)を理解しておくことは、欧州特許出願における進歩性を検討する上で重要です。疑問点や詳細についてはお気軽にご相談ください。

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