米国特許法101条の特許適格性に関して、2019 Revised Patent Subject Matter Eligibility Guidance と共に公開されている仮想事例37-40

USPTOで公開されているEligibility Examples 37 to 42のうちEligibility Examples 37 to 40における代表的な事例及びその事例のポイントのみを記載しています。実際のケースと近い仮想事例を参考にした論理展開が有効です。なお、本記事の理解のためには、USPTOのMPEP2106における米国特許法101条の特許適格性の判断のフローの理解が前提となっていますので、必要な方は先にこちらをご確認ください。

目次

Example 37 – Relocation of Icons on a Graphical User Interface

Claim 1

2A - Prong 1に関して : The mere nominal recitation of a generic processor does not take the claim limitation out of the mental processes grouping.  単に「プロセッサによる」という記載は、クレームの限定を精神的なプロセスのグループ化から外すこととならない、と指摘している。 単に「プロセッサによる」という記載を書いたのみでは特許適格性有とは判断されず、ステップ2A Prong 2に進んでいる。

2A - Prong 2に関して: The claim as a whole integrates the mental process into a practical application. Prong 2では、クレームは全体として精神的プロセスを実用的なアプリケーションに統合している、として特許適格性有とする。

Claim 2

2A - Prong 1に関して: The claimed step of determining the amount of use of each icon by tracking how much memory has been allocated to each application associated with each icon over a predetermined period of time is not practically performed in the human mind. すなわち、各アイコンと関連する各アプリケーションにどのくらいのメモリ量が割り当てられるかを追跡することによって各アイコンの使用量を決定するクレームのステップは、人間の頭の中では実際には行われない、と指摘している。すなわち、精神的なプロセスとは解釈できないほどに具体的にコンピュータプロセスが特定されていると認定され、特許適格性有と判定されている。

Example 38 – Simulating an Analog Audio Mixer

2A - Prong 1: The claim is eligible because it does not recite a judicial exception.神的なプロセスで実行されていないことが明らかとして2A Prong 1において特許適格性有と判断されている。

Example 39 - Method for Training a Neural Network for Facial Detection

2A - Prong 1: The claim is eligible because it does not recite a judicial exception. 精神的なプロセスで実行されていないことが明らかとして2A Prong 1において特許適格性有と判断されている。

Example 40 – Adaptive Monitoring of Network Traffic Data

2A - Prong 1: For example, but for the “by the network appliance” language, the claim encompasses a user simply comparing the collected packet loss data to a predetermined acceptable quality percentage in his/her mind.「ネットワーク機器による」という文言がなければ、クレームは、収集されたパケット損失データを予め定められた許容可能な品質パーセンテージと人の頭の中で単純に比較することを包含している。

The mere nominal recitation of a generic network appliance does not take the claim limitation out of the mental processes grouping. Thus, the claim recites a mental process. 事例40においても、単に「ネットワーク機器による」という記載を書いたのみでは特許適格性有とは判断されず、ステップ2A Prong 2に進んでいる。

2A - Prong 2: The claim as a whole integrates the mental process into a practical application. Thus, the claim is eligible because it is not directed to the recited judicial exception. クレームは全体として精神的プロセスを実用的なアプリケ
ーションに統合している。 したがって、クレームは司法上の例外を対象としていないため保護適格性を有する。

まとめ

Step 2A Prong 1に関しては、「プロセッサによる」や「ネットワーク機器による」という記載を書いたのみでは、精神的プロセスを否定できないことには注意が必要である。

Step 2A Prong 2に関しては、全体として実用的なアプリケーションに統合されていることを主張するのが保護適格性を主張する上では有効である。

このような米国特許法101条の特許適格性に関するガイドラインの仮想事例の考え方を理解しておくことは、米国で101条の拒絶理由を受けることをなるべく防ぐ、又は、101条の拒絶理由を受けてしまった後の対応を検討する上で重要です。疑問点や詳細についてはお気軽にご相談ください。

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