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令和元年(行ケ)10085号「対戦ゲーム制御プログラム」事件

審決取消請求事件

オンラインゲームの特許出願の拒絶査定不服審判の請求を棄却した審決の取消訴訟において、本願発明が引用発明から容易想到であったか否かが判断された事例

(4) 相違点 審決は,本願発明と引用発明との相違点を,以下のとおり6点認定した。 ただし,そのうち 相違点1,3~5が容易想到であることについては争いがない。
中略
〈相違点6〉
 第3フィールドに配置されていた追加のキャラクタカードが,第1フィールドに補充されるように表示することに関して,本願発明においては「 第2フィールドへのキャラクタカードの配置」に伴うものであるのに対し て,引用発明においては「第11領域から,第7領域へのカードの配置」 に伴うものである点。

第5  裁判所の判断
1 本願発明の概要

中略

6 取消事由2-2(相違点6の容易想到性の判断誤り)について
〔原告の主張の要旨〕
 本願発明では,敵キャラクタへの攻撃を行う第2フィールドへの配置に伴 い,キャラクタカードが第1フィールドに補充される。これに対し,引用発 明では,マナを増やすための第7領域への配置に伴い,新たなカードが第1領域に補充されるが,敵ヒーローへの攻撃を行うための第3領域への配置 に伴い,新たなカードが第1領域に補充されることはない。
 第3領域にカードを配置することで敵を攻撃するという技術的事項が開示 された引用発明において,第3領域とは異なる目的の第7領域にカードを配置させることで敵キャラクタへの攻撃を行うように引用発明を変更すること や,攻撃のために第3領域にカードを配置した際にカードが補充される構成 に置き換えることについての動機付けはないし,そもそもそのように変更する必要性もない。また,仮に相違点6に係る本願発明の構成がゲーム上の取決めであったとしても,そのことをもって直ちに,本願発明が引用発明に基づき容易想到であったということにはならない
 よって,引用発明に記載の構成を相違点6に係る構成に置き換えることが 容易想到であるとする審決の認定は,本願発明を見てなされた後付けの議論 にすぎず,相違点6にかかる構成が容易想到であるとした審決の認定は誤りである。
〔検討〕 以下のとおり,原告の上記主張を採用することができるので,取消事由2 -2に係る原告の主張には理由がある。

今後に生かすポイント

 裁判所は、本願発明の「前記第2フィールドへのキャラクタカードの配置に伴い,前記第1フィールドとは異なる第3フィールドに配置されていた追加のキャラクタカードが,前記第1フィールドに補充されるように表示され」る構成につき、ゲーム上の取決めにかかる構成であっても、そのことをもって直ちに容易想到とはしないと判断している。コンピュータソフトウェア関連発明に係る審査基準にも示されているように情報処理がハードウェア資源を用いて具体的に実現されていることを前提とした上で、本判決によれば、ゲーム上の処理動作であっても発明特定要素として、進歩性の判断がなされることが確認できる。

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