キャラクターと商品の名前とどちらの商標登録をすべきかのポイントを解説

商品の販売に際し、キャラクターと商品の名前とを両方検討している場合があります。また、サービスの提供に際し、キャラクターと会社の名前やサービス名等とを両方検討している場合もあります。こういった場合、どちらの商標登録をすべきでしょうか。キャラクター(図形商標)と商品の名前(文字商標)とどちらの商標登録をすべきかの悩みを解決します。理想論から言えば、キャラクター(図形商標)と商品の名前(文字商標)との両方を行っておいた方が包括的で漏れの無い権利がとりやすいことが多いです。但し、予算も限られていますし、優先順位もあるでしょう。従って、どちらの商標登録をすべきかの考え方のポイントを以下に解説しています。

目次

商品の名前での商標登録

商品の名称等の文字商標の方が表示スペースや印刷のしやすさ、費用の安さ等により使用場面が多いことも考えられます。キャラクター(図形商標)と商品の名前(文字商標)と両方使用するけれども、文字商標の方が頻繁に使用するのであれば、商品の名前の商標登録を優先すべき考慮ポイントとなります。

また、キャラクターの図形に文字が入っている場合には、この文字が商品の名前と同じ読みで読めるか、読みやすいかによっても変わります。商標の類比判断は、外観・称呼・観念の3要素を基に行います。従って、商品の名前の読みと同じ読みでキャラクターの図形が読める場合には、商品の名前の文字商標を登録すれば、称呼が共通となり、文字商標の類似範囲にキャラクターの図形商標が含まれる可能性がより大きくなるためです。このときは商品の名前の商標登録を優先すべき考慮ポイントとなります。

商品の名前の方が検討に際してキャラクターの図形に比べて思い入れが強い場合にも商品の名前の商標登録を優先すべき考慮ポイントとなります。

キャラクターの図形がまだ変更される可能性があったり、キャラクターの図形の方が思い入れが弱い場合にも商品の名前の商標登録を優先すべき考慮ポイントとなります。

キャラクターの図形での商標登録

キャラクターの図形の方が目印として目立つため、表示スペースを大きくしたり、頻繁に使用することも考えられます。キャラクター(図形商標)の優先順位が高いのであれば、キャラクターの図形の商標登録を優先すべき考慮ポイントとなります。

また、キャラクターの図形に文字が入っていて、この文字が商品の名前と同じ読みで読める場合且つ文字がデザインのポイントを構成しているような場合には、キャラクターの図形を商標登録するのも選択肢です。商標の類比判断は、外観・称呼・観念の3要素を基に行います。従って、商品の名前の読みと同じ読みでキャラクターの図形が読める場合には、キャラクターの図形商標を登録すれば、図形商標の類似範囲に商品の名前の文字商標が含まれる可能性が出てくるためです。但し、キャラクターの図形商標は、キャラクタの図形部分に外観や観念等の特徴も生じやすくなります。従って、必ずしもキャラクターの図形商標を登録すれば、図形商標の類似範囲に商品の名前の文字商標が含まれるわけではなく、むしろ一般的な可能性としては類似範囲にに含まれる可能性は低くなります。

キャラクターの図形商標の方が検討に際して商品の名前に比べて思い入れが強い場合にもキャラクターの図形商標の商標登録を優先すべき考慮ポイントとなります。例えば、デザイナーさんに頼んでキャラクターの図形商標を作成してもらっているような場合には、折角費用をかけて作成してもらったということでキャラクターの図形商標の方が思い入れが強い場合もあります。

キャラクターの図形が変更される可能性が低い場合にもキャラクターの図形の商標登録を優先すべき考慮ポイントとなります。

商品の名前とキャラクターの図形との両方の商標登録

商品の名前とキャラクターの図形との両方を併用して使用する場合には両方の商標登録を行う方が包括的で漏れの無い権利取得が可能になります。例えば、SNS等では文字の商品の名前の方が使用しやすい、特定の商品にはキャラクターの図形のみ使用する等の併用パターンも考えられます。

また、キャラクターの図形の文字の読み方が、商品の名前と同じ読みで読めない場合、読みにくい場合には、キャラクター(図形商標)と商品の名前(文字商標)とは非類似と考えられる可能性が高くなります。従って、一方のみの商標登録で他方の商標をカバーできなくなります。このような場合には、両方の商標登録を行うメリットが大きくなります。

同じ商品に、商品の名前とキャラクターの図形との両方を併用して使用することはよくあります。従って、両者を登録しても問題ありません。商品の名前とキャラクターの図形との両方を商標登録しておけば、例えば第3者が商品の名前のみを変えても、キャラクターの図形が類似していれば、第3者のキャラクターの図形の商標の使用を制限できる可能性が高くなります。

また、ある商品には、商品の名前のみを記載する、別の商品には、キャラクターの図形のみを記載する等の使用を検討している場合にも、片方のみでは守れない商品がでてくるので、商品の名前とキャラクターの図形との両方を商標登録するメリットが大きくなります。

まとめ

このように、キャラクターと商品の名前とどちらの商標登録をすべきかについても多くの考え方があります。それぞれのメリットやデメリットも考慮してどのような商標登録出願をすべきかを検討します。

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