商標権を登録してから約10年で、商標登録を更新するタイミングがやってきます。商標権は更新をすることにより半永久的に維持することができます。他方、商標登録を更新するタイミングでは、商標登録と実際の事業とがマッチしているかの見直しやチェックをするチャンスです。商標登録を更新するタイミングでの見直しやチェックのポイントを説明します。
商標の見直し:商標登録の内容となる図形と、実際に使用しているマークやロゴとが異なっていないかをチェックする。
商標の見直しに関して:商標登録の内容となる図形と、実際に使用しているマークやロゴとが異なっていないかをチェックすることが必要です。
商標登録から5年、10年と年月が経つにつれ、マークやロゴが変化している場合もあります。
商標登録の内容となる図形と、実際に使用しているマークやロゴとが異なっている場合には、商標権の専用権の範囲から外れてしまっており、異なる商標登録を取り直した方がよいケースもあります。
なお、実際に使用しているマークやロゴが商標登録と少しだけ変わっているけれども、依然として、商標登録の内容となる図形と、実際に使用しているマークやロゴとが社会通念上同一と認められる程度で似ているような場合(例えば色だけ少し変わっているような場合)には、商標登録の専用権の範囲内の使用である可能性が高いです。
従って、このような場合には、商標登録を更新することを積極的に検討してもよいでしょう。
指定商品(指定役務)の見直し:商標登録の内容となる指定商品と、実際に使用している商品や役務とが異なっていないかをチェックする。
指定商品(指定役務)の見直しに関して、商標登録の内容となる指定商品と、実際に使用している商品や役務とが異なっていないかをチェックすることが必要です。
商標登録から5年、10年と年月が経つにつれ、対象となる商品や役務が変化している場合もあります。
実際に使用している商品や役務が商標登録に含まれていないような場合には、追加の商標登録出願を行うことも検討します。
注意が必要なのは、後から、既存の商標登録の指定商品・指定役務の範囲を拡大することはできないということです。
商標登録の内容となる指定商品に関して、もはや販売を継続していないような場合には、商標登録を存続する意味が低下しており、異なる商標登録を取り直した方がよいケースもあります。
不使用取消との関係
商標登録の内容となる図形と、実際に使用しているマークやロゴとが異なっている状態、又は商標登録の内容となる指定商品と、実際に使用している商品や役務とが異なっている状態、このような状態では、商標権が実際には使用されていないとして不使用取消審判により商標権が取り消される可能性があります。
従って、商標登録と、実際に使用しているマークやロゴ等が異なっているのであれば、商標権を更新しないという選択肢もあります。仮に使用意図があるのであれば、商標登録に係る商標を使用しておくことで不使用取消審判により商標権が取り消されることを防げます。