サクラテラスと桜@飯田橋駅西口 2023年撮影
会社名、屋号、商号、会社ロゴの商標登録の重要性については以下に説明しています。これらは事業を運営していく上で、頻繁に表示していくことが多いため、使用するなと言われると会社として非常に困ることになります。商標法26条には、「商標権の効力は、自己の名称を普通に用いられる方法で表示する商標には及ばない。」という規定があり、一定の使用方法については使用できるものの、商標的な使用態様では使用できなくなりますので、会社名、屋号、商号、会社ロゴの商標登録の重要性は非常に高いものとなります。
会社名、屋号、商号、会社ロゴの商標登録について
会社名、屋号、商号、会社ロゴの商標登録について、最もおススメなのは会社設立、法人設立のタイミング、個人事業での開業時のタイミングです。この時点であれば、仮に同一の社名の登録が既になされていたような場合には、社名や屋号を比較的変更しやすいケースも多いからです。
やはり事業の調子を見てからということであれば、起業してから1年、2年のタイミングは、会社名、屋号、商号、会社ロゴをこのまま使って大丈夫かを確認しておくよいタイミングとなります。
このようなタイミングは、新しい会社名で事業を行っていくにあたり、この会社名等でよいのか、商標登録をしておいた方がよいのか等、検討のタイミングとなります。基本的には、日本の商標登録制度は「早い者勝ち」の登録制度ですので、検討は早ければ早い程よいことになります。早すぎるということはなく、検討を後に延ばせば、第三者が登録してしまうリスクが増えていくことになります。
第三者が登録してしまい、後になって会社名や屋号等を変更しようとすると、広告宣伝費が無駄になったり、取引先に知らせたり、大変な手間が生じます。また、これまで築いてきた名前でのブランドイメージもなくなってしまいます。商品名よりも会社名の方が変更によるダメージは大きいものとなることが多いです。
商標登録は他人の商標権を侵害していないかのチェックになる。
商標登録がなされた場合には、特許庁が審査をして、既に存在している他人の商標権と抵触しないと判断したことになります。従って、商標登録をしていれば、原則的には、その商標を登録した態様で安心して使い続けることができます。
他方、商標登録をしていない場合、特許庁の判断を受けていないので、このような安心を得ることはできません。御社の商標と同じ商標や類似の商標を、他人が先に登録している可能性もあります。従って、「商標を使用していたら、実は他人の商標権を侵害していた」というリスクが残っている可能性があります。他人の商標権を侵害すると、差止請求や損害賠償請求をされる可能性があります。またこのような訴訟を提起された事実が広まれば取引先や顧客の信用がガタ落ちとなる可能性もあり、昨今では、ネットで炎上してしまう可能性もあります。
会社名、屋号、商号、会社ロゴについては、使用機会も多いため、商標登録を得る事により、このようなリスクを極力排除するメリットがあります。
第三者により勝手に商標登録されてしまったら
会社名、屋号、商号、会社ロゴの商標登録を、第三者が勝手に登録してしまった場合、商標登録は通常「早い者勝ち」なので、長年使用してきた会社名等が使用できなくなってしまいます。先使用の主張は周知性のハードル等があり難しいことも多いです。
会社名、屋号、商号、会社ロゴを一度使い始めたのにまた変えなければならないというのは、かなり辛い状況となることはおわかりいただけると思います。これがまさに商標登録の力でもあるのですが、そのようなことにならないためにも、自社の社名や屋号等は自身で権利を持っておくというのは重要でもあります。
会社名、屋号、商号、会社ロゴの商標登録をした場合のメリット
見知らぬ第三者に会社名、屋号、商号、会社ロゴの商標登録を、勝手に登録されることを防ぐことができる
1つ目のメリットとしては、上述のように見知らぬ第三者に会社名、屋号、商号、会社ロゴの商標登録を、勝手に登録されることを防ぐことができます。従って、商標権を維持していれば、将来にわたって半永久的に名前を使い続けることができます。よって、ビジネスの基礎をより安定させることができます。
商標を第三者に勝手に使用されるのを防ぐことができる
2つ目のメリットとしては、商標を第三者に勝手に使用されるのを防ぐことができます。社名の知名度が上がってくるにつれて、社名に便乗した商品や模倣品等が出現する可能性が高くなります。このように、商標登録があれば、勝手に会社名等を登録した指定商品に使用されることを防ぐことができます。
会社名、法人名等の略称について
会社名、屋号の商標登録については、正式名称を登録するのが基本です。他方、略称がある場合には、できれば、正式名称だけではなく、略称についても、商標出願することをお勧めします。
例えば、正式名称が少し長い場合、取引書類においても略称を使用したり、親しみやすいようにお客様に向けて略称の方を周知しているケースがあります。
ここで注意しておく必要があるのは、ビジネス的には、正式名称と略称とは関係があるのですが、商標法の世界では、正式名称と略称とが類似と判断されるとは限らないことです。むしろ、正式名称と略称とで称呼などが大きく変わってくるような場合には、類似でないケースも大いにありえます。
正式名称もあるのに敢えて略称を用いているということは、略称を商売の目印として使用する動機があると思われます。その場合は略称も守らなければなりません。
よって、略称の商標登録についてもご注意ください。
会社名、法人名等を商標登録する際に「株式会社」を含めるか
結論としては「株式会社」を含めない形で登録する方が一般的と思われます。
社名を、コーポレートブランドとして使用する場合には、「TOYOTA」、「SONY」、「Panasonic」等のように株式会社を除いた名称で商品やサービスの目印として使用される場合があります。
実際に使用する態様で「〇〇〇株式会社」の「〇〇〇」を商標登録することが原則です。
「〇〇〇」で商標登録を取っていれば、他社が特許庁で「〇〇〇株式会社」の登録を受けようとしても審査基準によれば「株式会社」の文字を除いた「〇〇〇」の称呼を生じるものとするとなっていますので、基本的に他社は「〇〇〇株式会社」で商標登録を取れなくなります(同一又は類似の指定商品等の範囲に限る)。
従って、「〇〇〇」を商標登録するやり方は有効です。
なお、例外としてロゴに一体化された法人名称まで含まれてしまっているような場合には、実際に使用する態様を使用するという観点を優先し、使用するロゴをそのまま登録します。
商標法26条と、会社名、法人名等との関係について
会社名、法人名等を商標登録しなかった場合には注意すべき点があります。
今までの説明とは全く別で、仮に他社が「〇〇〇」を商標登録したとします。
すると、自社は商標的な使用態様で「〇〇〇株式会社」や「〇〇〇」を使用できなくなります。
ここまでは容易に想像できると思います。
このとき商標法26条の規定があるため少し注意が必要となります。
商標法26条には、「商標権の効力は、自己の名称を普通に用いられる方法で表示する商標には及ばない。」ことが規定されています。
つまり、仮に他社が「〇〇〇」を商標登録したとしても、自社の正式名称「〇〇〇株式会社」を普通に用いられる方法で表示することはできます。
ただし、「普通に用いられる方法で」は、会社名として会社情報の説明欄に記載する等の記載方法を言います。つまり社名は、使用が継続できますが、会社情報の説明程度の使用方法の程度まで制限がかかることになります。
「普通に用いられる方法で」に該当しなくなるため、自社の正式名称「〇〇〇株式会社」であっても、商品の販売や広告宣伝のときに目印となるように付して使用することはできません。つまり、商品を販売するときに目印として(商標的な使用態様で)自社名を使用できなくなります。
仮に他社に「〇〇〇」を商標登録されてしまうと、商品パッケージに大きく自社の正式名称「〇〇〇株式会社」と表示できなくなります。
もう一つの注意点は、「株式会社」を除いた「〇〇〇」です。自社の正式名称「〇〇〇株式会社」に対する「〇〇〇」は、商標審査基準によれば「略称」に該当します。「略称」は「自己の名称」と違うので、商標法26条の「商標権の効力は、自己の名称を・・・」に該当しなくなります。自社は、仮に他社に「〇〇〇」を商標登録されてしまうと「〇〇〇」を使用できなくなります。このような状況を防ぐために、「株式会社」などの部分を除いた略称「〇〇〇」を、自社で商標登録しておく意味があります。この観点からも、「株式会社を含めるか」で説明したように、「〇〇〇株式会社」の「〇〇〇」を商標登録することが多く行われています。
まとめ
会社名、屋号、商号、会社ロゴの商標登録について、重要性のイメージは湧きましたでしょうか、会社名、屋号、商号、会社ロゴの商標登録についても検討すべきポイントは多くあります。
飯田橋で会社名、屋号、商号、会社ロゴの商標登録を、検討される場合には、このような注意点を相談できる弁理士に相談されることをお勧め致します。お問合せフォームよりお気軽にお問合せください。