ロゴデザインの変更やロゴデザインのリニューアルに伴う商標登録について

会社やお店のイメージやコンセプトの変化、新サービスの登場等のさまざまな理由により、会社やお店のロゴデザイン、サービス名のロゴデザイン等を変更する場合があります。

このとき変更したロゴデザインをどのように保護するのか、既存の商標登録によって保護されるのか、新たな商標登録が必要になるのか等の悩みを解決します。

目次

既存の商標登録があって、一定の場合には、新たな商標登録が不要の場合もある。

ロゴデザインに関する商標登録を既に保有しており、この登録商標と、色彩のみを変更するような商標への変更であれば、色彩の異なる商標が登録商標と同一の商標として扱われる可能性があります。その場合には、新たな商標登録までは不要である可能性があります。なぜなら、色彩のみの変更であれば、既存の商標登録の権利により色彩の異なる商標の使用が保護できる可能性が高いからです。但し、色彩のみの変更であれば必ず同一の商標として扱われるわけではありません。例えば異なる観念を生じさせるような色彩の変更に関しては、同一の商標として扱われない可能性もあるので注意が必要です。

新たな商標登録が必要となるケース

既にロゴデザインに関する商標登録を保有していたとしても、ロゴデザインの変更やリニューアルを行った場合には、新たな商標登録が必要となるケースが多いです。

ロゴデザインの変更やリニューアルを行った商標は、既存の商標登録と同一の商標から外れ、類似や非類似となっている可能性が高くなります。

既存の商標登録と同一の商標であれば、商標権の専用権範囲ですが、商標権の類似範囲は禁止権範囲となり、非類似範囲には商標権の効力が及びません。

商標権者の積極的な使用が保証される専用権範囲を、変更したデザインの範囲で確保するためには、新たな商標登録が必要となるケースも多いです。

既存の商標登録を継続するかの検討

既存の商標登録を継続するのか、についても検討が必要です。完全に不要となるのであれば、既存の商標登録の更新をせずにさらなる費用の負担を防ぐ手もあります。一方で、復刻版として既存の商標のデザインを将来に再び使用する可能性や、又はバリエーションの可能性として旧ロゴデザインの権利を確保しておきたいという要請もあるかもしれません。

既存の商標登録は不使用取消審判を受ける可能性に注意

商標法の不使用取消審判(商標法50条)により、継続して三年以上「登録商標の」使用をしていないと(他の要件は省略)登録が取り消される可能性が出てきます。

ロゴデザインの変更やリニューアルを行った商標は、既存の商標登録と同一の商標とは言えなくなっている可能性あります。従って、ロゴデザインの変更を行った商標の使用は、「登録商標の」使用ではないとなって、既存の商標登録が不使用取消審判により取り消されてしまうということが起こります。

既存の商標登録をどうするのかの検討と共に、既存の商標登録が不使用取消審判を受けたくないのであれば、既存の商標登録と同一の商標を使用しておく必要があることに注意が必要です。

まとめ

このように、ロゴデザインの変更やロゴデザインのリニューアルに伴う商標登録の考え方についても一定の注意点があります。

ロゴデザインの変更に伴って、新たな商標登録を行うケースも多いと思いますが、既存の商標登録を残しつつ、先ずは、新たな商標登録出願も行うやり方が安全性が高いと言えます。既存の商標登録から非類似となる程度まで商標が変更される場合、(調査を行えばある程度予測はできますが)拒絶理由を受ける可能性もあります、また、(外国への調査まで費用をかけられない場合には)外国で思わぬ拒絶理由を受ける可能性ももちろんあります。

ロゴデザインの変更やロゴデザインのリニューアルに伴う商標登録についても慎重に進めることで思わぬトラブルを回避できる可能性が上がります。ロゴデザインの変更やロゴデザインのリニューアル一つとっても奥が深いです。注意して対応しましょう。気になる点があればご相談ください。

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