
AI技術の発展に伴い、今後は、従来よりも大量の技術情報、実施例、図面等を含む「大データ出願」を活用しようとする企業が増えていく可能性があります。
一方で、大データ出願は、単に明細書のページ数を増やせばよいというものではありません。
1000ページ、2000ページといった規模の出願を実際に行うためには、大量の文書データや図面データを安定して処理するための一定のノウハウと処理能力が必要になります。またそういった処理に対応できる代理人も必要です。
特に重要になるのが、オンラインによる電子出願への対応です。
仮に、オンライン出願が難しいため書面による出願を選択すると、原則として電子化手数料が必要になります。電子化手数料は1ページ当たり800円が加算されるため、例えば2000ページの出願であれば、概算で160万円の手数料がかかることとなります。
そのため、大データ出願では、実務上、オンラインによる電子出願で提出できる状態となるようにデータを適切に整えることも重要になります。
一方で、大データになると、様々な問題を生じることになります。
問題1 明細書が長くなると、従来どおりの修正が難しくなる
大データ出願では、明細書そのものの長さが、通常の出願にはない問題を生じさせることがあります。
明細書が100ページ、500ページ、1000ページ、2000ページと長くなるにつれて、オンライン出願データへの変換時にエラーが発生する箇所が爆発的に増える場合があります。
通常の明細書であれば、数個のエラーが発生しても、一つずつ内容を確認しながら修正することができます。
しかし、明細書が非常に長い場合には、同種のエラーが数十箇所、数百箇所に発生します。
このような場合、従来どおり人が一つずつ確認して修正する方法では、対応に非常に多くの時間を要します。
さらに、明細書のデータ量が大きくなると、容量が非常に大きくなるため、Word等の文書作成ソフト自体の動作が不安定になる場合があります。
例えば、ファイルを開く、保存する、スクロールする、文章を修正するといった通常の操作にも時間がかかることがあります。
さらに、場合によっては、画像が表示されにくくなったり、レイアウトが崩れたり、修正作業そのものが円滑に行えなくなったりすることもあります。
つまり、大データ出願では、
「エラーが大量に発生する可能性がある」
「明細書ファイル自体の動作が不安定になる可能性がある」
「従来と同じ方法では修正作業ができなくなる可能性がある」
という複数の問題を同時に考える必要があります。
このような問題は、明細書の内容とは別に発生するものになります。
大量のデータをどのように確認し、どのようにエラーを特定し、どのように安全に修正して出願可能な状態まで持っていくかという、別の処理ノウハウが必要になります。
そのため、大データ出願を行う場合には、通常の特許実務に加えて、大量データの処理や、計画的な処理修正についてノウハウを有する特許事務所に依頼することも重要になります。
手作業で確認の難しい案件については、AIを用いた処理体制も必要ですのでご相談ください。
問題2 図面の調整
大データ出願では、明細書のページ数だけでなく、図面データの容量にも注意が必要です。
特に、図面が100枚、200枚、300枚と増えてくると、一枚一枚のデータ容量はそれほど大きくなくても、図面全体としては非常に大きなデータになることがあります。
例えば一つの図面が500KBでも300枚あれば、150MBになります。
図面の容量が大きくなりすぎると、通常のオンライン出願における送信容量の上限200MBに抵触するおそれが出てきます。
そのため、大量の図面を含む出願では、単に作成された図面をそのまま明細書に貼り付けることができない可能性があります。
それに、図面を一つずつ、オンライン出願に適した解像度及びサイズに加工及び調整する必要があります。
ここで問題になるのが図面の枚数です。
図面が数枚であれば、一図ずつサイズや解像度を確認して修正することもできます。しかし、数百図の図面がある場合には、同じ方法で一図ずつ修正することは困難を伴う可能性があります。
例えば、1図を五分で調整したとして、300枚を修正するには、25時間かかります。
図面だけで、です。
つまり、大データ出願では、
「図面の容量をどのように抑えるか」
「図面をどのようなサイズや解像度に調整するか」
「大量の図面をどのように効率的に修正するか」
等の問題に対処する必要があります。
特に、出願直前になって数百枚の図面について容量の問題が判明すると、大量の図面を短期間で修正しなければならなくなる可能性があります。
このような新しい形態の長大データ特許出願の案件について、必要とする場合、選択せざるを得ない場合等には、注意点に注意頂く必要があります。
弊所はAIも積極的に導入しています。最新の出願形態についてのご相談があれば直接お問合せください。


